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その２４ 監督：クァーク・へナレス 出演：ジェニリン・メルカド、サンダラ・パク、カトリーナ・ハリリ、マーク・へラス、ジョン・プラッツ、ポロ・ラバレス  「東京国際ファンタスティック映画祭」を引き継ぐ形で東京国際映画祭の協賛企画としてスタートした「東京国際シネシティフェスティバル」において、２本のフィリピン映画が上映された。 １本目は、キッズムービーの『スーパー・ノイピー』。 独裁政権を阻止するために2075年からタイムトリップしてきた少女戦士が、超能力を持つ若者たちとともに戦うという作品で、完全なファミリー映画だ。ま、ハナから期待していなかった作品なので、見ていてガッカリするということもなかった。でも、ちょっと疲れたかな。 未来から来たリアを演じたジェニリン・メルカドがなかなか好みのタイプ。また、主人公の妹でメガネっ娘のアニスを演じたカトリーナ・ハリリも悪くない。それに、韓国系のサンドラ・パークもそこそこ可愛い（ちょっと、ユン・ソナ似）。 作中、２本のスティックで戦うカリというフィリピンの伝統的な格闘技をリアが使うのがちょっと嬉しかったのだけれど、でも、あまり運動神経のよさそうな娘じゃなかったなあ。  「シャシャ・ザトゥーナ（ZsaZsa Zaturnnah Ze Moveeh）」2006年 監督：ジョエル・ラマンガン 出演：シャシャ・パディラ、ポップス・フェルナンデス、ラストム・パディラ、アルフレッド・ヴァルガス、チョコレイト、ポーリン・ルナ  ま、『スーパー・ノイピー』は最初からそれほど期待していなかったからいいのだ。期待はもう１本、ジョエル・ラマンガン監督の『シャシャ・ザトゥーナ』なのである。これがむちゃくちゃ楽しみだったのだけれど、実際に観てみて、まったくもって期待を裏切らない快作でありました。 おかまの美容師のアダ（ラストム・パディラ）は、宇宙から飛んできた謎の隕石を飲み込むことで、赤毛のスーパー・ヒロイン、シャシャ・ザトゥーナ（シャシャ・パディラ）に変身してしまう（この、謎の隕石を飲み込んでスーパーヒロインに変身するという設定は、フィリピンでは知らぬ者とていないという超人気スーパーヒロインコミック「DARNA」のパクリ）。 女性の身体に憧れていたアダは、本物のバストを手に入れて有頂天になり、ここで「私は女！（BABAE NA AKO!）」と歌い踊るのであるのだけれど、もう、そのミュージカルシーンの楽しいこと。 そして、アダは巨大カエルやゾンビ軍団から自分の住む村を守るために、シャシャ・ザトゥーナとして戦うのである。 そして、この戦いがまたとっても楽しい。巨大カエルとの戦いなんて、実に実にキッチュな風合いでありまして、リアルにならず、チープにならず、そのバランス感覚が実にお見事。 むちゃくちゃ笑ったのが、ゾンビ軍団との戦い。アダの父親がゾンビとなって墓からよみがえってくるのであるが、自分の息子がゲイであるということを最後まで認めようとしなかった父は、ワンダーウーマンみたいな格好でゾンビと戦っている息子と再会した場面で「お前は、まだそんな格好をしているのか！」と説教を始めてしまうのである。いやあ、笑った笑った。 さらには、地球侵略をもくろむクイーン・フェミナが配下のアマゾニスタ軍団を率いて攻めてくる。このアマゾニスタ軍団が美人揃いで、それだけでも嬉しくなってしまう。 そして、クイーン・フェミナは、抵抗する村の男たちをことごとく女に変えてしまうのである！ 村中にあふれかえるむくつけきおかまたち！（笑） シャシャ・ザトゥーナは、地球の平和を取り戻すため、村の男たちを元に戻すため、クイーン・フェミナに最後の戦いを挑んでいくのであった！  左からクイーン・フェミナ（ポップス・フェルナンデス）、アダ（ラストム・パディラ）、シャシャ・ザトゥーナ（シャシャ・パディラ） いやはや、もうむちゃくちゃに楽しいＳＦアクションミュージカル映画だったのだ。このノリのよさは、しいて言うならばフィリピン版『リトル・ショップ・オブ・ホラーズ』といったところか（もちろん、フランク・オズ版）。 ぜひとも見逃した人たちに見せてあげたいので、ＤＶＤを日本で出して欲しい。東京国際レズビアン＆ゲイ映画祭で上映するにも最適の１本なんじゃないのかなあ。 とにかくむちゃくちゃ気に入った。最近観た映画の中のベストであります。 ちなみに、この映画を観た女性たちが一致して注目していたのは、アダが想いを寄せるマッチョな男性、ドドンを演じているアルフレッド・ヴァルガスでありました。このアルフレッド・ヴァルガスがどういう俳優であるのかを知るには、「Alfred Vargas」で画像検索していただくのが最も手っ取り早い手段でありましょう。肌も露わなマッチョな肉体の画像が山のように見つかるはずであります。 調べてみると、この『シャシャ・ザトゥーナ』は、もともとは「ワンダーウーマン」やフィリピンの古典的なスーパーヒロインコミックス「DARNA」の延長線上に生まれたコミックスをベースにしている。2002年に自費出版されたカルロ・ヴェルガラのコミックスがそもそものはじまりで、2003年にナショナル・ブック・アワードを受賞して正式な出版にこぎつけ、ベストセラーとなる。そして、2006年にミュージカルとして舞台化され、さらに同年、ジョエル・ラマンガン監督によって映画化されたというわけだ。ジョエル・ラマンガンは当初はミュージカルとして映画化するつもりではなかったらしいのだが、ミュージカル版の舞台を見て映画にもミュージカルシーンを多く取り入れることにしたらしい。 そもそも、ジョエル・ラマンガン監督、デビュー２作目で「DARNA」を手がけてもいるわけだし、本人もゲイなのだし、この作品を映画化するのに最適の人材というわけだ。 なんとかこの映画の英語字幕の入ったＤＶＤを手に入れたいと思っているのだけれど、ようやく見つけた業者がクレジットカードで買っても大丈夫な業者かどうかよく分からないので、いまだに手を出せないでいる。うーん、なんとかならないかなあ。 これは、手元に置いておきたい映画なのであります。 ここでちょっと『シャシャ・ザトゥーナ』に関するトリビアを披露しておこう。 クイーン・フェミナの配下として登場する４人の美人戦士（アマゾニスタ）の役名であるが、それぞれ[Nora A.][Vilma S.][Sharon C.][Dina B.]となっている。これが何かというと、みんなフィリピンの有名な女優さんの名前なのだ。ノーラ・オノール（フロール事件）、ヴィルマ・サントス（母と子）、シャロン・クネタ（少女ルーペ）、ディナ・ボネヴィ（泥の中を泳げ）というわけだ。  これが、クイーン・フェミナ率いるアマゾニスタだ！
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