2025年に観たフィリピン映画

【コールガール　欲望の餌食（BUGAW）】2023年

監督：ヤム・ララナス
キャスト：アレクサ・オカンポ、クリフォード・プシング



　農村地帯に暮らすドロレス（アレクサ・オカンポ／Alexa Ocampo）は、父の管理のもと、売春で一家の生計を立てていた。だが、その父が亡くなり、客から性病を移され、さらに売春の上前をはねていた土地の顔役である警察官のセル（ジェイ・マナロ／Jay Manalo）から客をとることを禁じられてしまう。やむなく弟のイサク（クリフォード・プシング／Clifford Pusing）がコールボーイをしたり、酔っ払いから金や時計を奪ったりするのだが、そのことがセルにばれてしまい牢屋に閉じ込められてしまう。その牢屋の隣には、セルが売春をさせるために誘拐してきたリディア（アタスカ・メルカド／Ataska Mercado）がいた。イサクはリディアとともになんとか逃げだそうとするのだが……。

　エロティック映画を量産しているビバフィルム製作の作品なのだけれど、フィリピンホラー映画界の巨匠、ヤム・ララナス（Yam Laranas）が脚本を書き監督をした作品ということで、多少は期待していた。ビバフィルム製作のこの手の映画は、扇情的なセックスシーンさえ入れておけば、あとはけっこう監督の好きに撮らせているふうなので、それなりに面白い作品が生まれることもあるのだ。ところが、本作に限っていえば、まったくもってなんらみどころのない作品というしかなかった。ストーリー展開にはなんの工夫もないし、テンポは悪いし、本当にヤム・ララナスが監督したのかと疑いたくなってしまう。なぜか、ブリランテ・メンドーサ監督作品のような手持ちカメラによる不安定な映像があったりもするのだけれど、なんの効果もあげていないし、なんでそんな撮り方をしたのかも理解できない。
　IMDbの201人による評価では4.6点と予想を上回る得点となっているのだけれど、その内訳をみるとなぜか77人が10点満点をつけている。どこにそんな高い点をつける要素があるのかまったく理解できないのだけれど、それにもかかわらず平均が4.6点ということは、満点を投じた人間以外の評価がひどく低いということである。それにしても、どうして満点をつける人がそんなに多いのかなあ？
　ちなみに原題の「Bugaw」というのは、「ポン引き」という意味であるらしい。最初は父が客引きをし、父が亡くなったあとは弟がそれを引き継ぐという、なんとも後味の悪い設定がタイトルとなった映画なのだ。