GARAKUTA

2023年に観たフィリピン映画

【DAY ZERO／デイ・ゼロ（DAY ZERO）】2022年

監督：ジョイ・デ・グズマン
キャスト：ブランドン・ヴェラ、メアリー・ジーン・ラスティモサ

　ある日突然、謎のウイルスによってゾンビ化した人間が地上に蔓延し、感染していない人間に襲いかかりはじめる。刑務所に収監されていたエモン（ブランドン・ヴェラ／Brandon Vera）は、妻と娘のもとに駆け付けるのだが、家族の住んでいたビルもゾンビの巣窟と化していた。エモンは続々と襲いかかるゾンビの群れを片端から叩きのめしながら家族を救おうとするのだが。

　よくあるゾンビ映画の1本で、『新感染ファイナル・エクスプレス』以来の素早く動き回って襲いかかってくる全力疾走系のゾンビが登場する。ただしこのゾンビ、まわりに音をたてる存在がいなくなると動かなくなるので、主人公たちは音をたてないようにして移動しなければならないことになる。このあたりは『クワイエット・プレイス』と同様に緊張感に包まれる場面となる。なにしろ、ちょっとでも音をたてようものなら、四方八方からものすごい勢いで無数のゾンビが駆け付けてくるのだ。
　また、いわゆるゾンビものとは異なり、ここに登場するゾンビは殺されれば動かなくなる。いわゆる歩き回る死者というわけではなく、生きた人間が凶暴化しているという設定なのだ。なので、銃で頭を撃ち抜かれれば死ぬし、首を折っても動かなくなる。そして、本作の主人公エモンを演じているのは総合格闘家のブランドン・ヴェラなので、めちゃくちゃ強い。押し寄せるゾンビどもを片端からぶちのめしていってしまうのだ。そこが本作のいちばんの特徴かもしれない。
　とはいえ、ストーリーにはあまり工夫はなく、驚くような展開もまったくない。実にストレートなストーリー展開で、ほぼほぼ予想通りに物語が進行する。さすがに、もう少し脚本に工夫があってもいいと思うのだが。

　監督はジョイ・デ・グズマン（Joey De Guzman）。劇場映画は本作が2019年の『The Ghosting』に次ぐ2本目で、3本目がいま現在フィリピンで絶賛上映中の『Shake Rattle & Roll Extreme』というオムニバス映画となる。いずれもホラー映画だ。
　『牢獄処刑人』のエリック・マッティが製作に名を連ねている。
　主役を演じているブランドン・ヴェラは総合格闘家で、エリック・マッティ監督の『BUYBUST/バイバスト』にも主役級の扱いで出演している。
　妻のシェリルを演じているのはメアリー・ジーン・ラスティモサ（Mary Jean Lastimosa）。キャシー・ガルシア・モリーナ監督の『Unexpectedly Yours』、ヴァイス・ガンダ主演の『Fantastica』に出ていたようだ。