2020年に観たフィリピン映画

【Indak】2019年

監督：ポール・アレクセイ・バシニリョ
キャスト：ナディーン・ルストレ、サム・コンセプシオン




　リゾートアイランドで観光客を相手にダンスを披露することで生計を立てていたジェン（ナディーン・ルストレ／Nadine Lustre）。彼女のダンスがSNSで話題になりだしていることなど、インターネットの電波がほとんど届かない島に住む彼女たちは、誰も気がついていなかった。
　だが、そのダンスに目をつけたヴィン（サム・コンセプシオン／Sam Concepcion）が、ジェンを彼が率いるダンスチームに誘うために島へとやってくる。彼が率いるダンスチーム「インダック・ピナス」は、韓国で開催されるダンスのワールドチャンピオンシップ出場を目指して、優れたダンサーを求めていたのだった。
　都会に出ることに消極的なジェンだったが、母親の理解もあって、ヴィンとともにマニラに出ることになる。最初のうちは激しいダンスについていけず、チームにも溶け込めずに苦労するが、やがて彼女のダンスが認められて、ともにコンテストを目指して猛練習を開始する。
　その努力が認められ、韓国でのコンテストに参加できることになるのだが、ジェンのミスから遠征のための費用を盗まれてしまうのだった。

　というように、いちおうはちゃんとしたストーリーはある。だけど、全編ダンスシーンの連続で、あたかもミュージックビデオをストーリーでつないでいるというような印象を受ける。とにかく、踊って踊って踊りまくる映画なのだ。おかげで、タガログ語のまったく理解できない自分でも、字幕なしでも充分に楽しむことができた。
　そして、そのダンスシーンがめちゃくちゃ楽しい。韓国への遠征費用を稼ぐために、みんなが踊りまくる場面、プロポーズをサポートするためにサプライズを仕掛けて踊る場面の楽しさよ。
　踊るだけじゃなくって、突然登場人物たちが歌い出したりする場面もあって、これがまた盛り上げてくれる。ミュージカル映画というわけではないのだけれど、唐突にミュージカル的な演出が紛れ込んでいたりするのだ。
　クライマックスは、韓国でのコンテストシーン。各国からやってきたチームがそれぞれの国らしい雰囲気のダンスを披露していく。ちなみに、日本からやってきたチームの名前は「原宿ボーイズ」だ。原宿ボーイズのダンスもなかなかかっこいいぞ。

　監督は本作が劇場映画デビューとなるポール・アレクセイ・バシニリョ（Paul Alexei Basinillo）。このあと歌手のサラ・ヘロニモのドキュメンタリー『Sarah Geronimo: This 15 Me』、本作同様サム・コンセプシオンとナディーン・ルストレの出ている音楽映画『The Cr3w: Live in Concert』を監督しており、音楽関係の映像を得意とする監督のようだ。