サンケイノベルスの海外小説

かつてサンケイ出版から「サンケイノベルス」という四六判の叢書が刊行されていた。日本人作家の大衆小説を扱っていた叢書で、自分が持っている本では西村寿行の『屍海峡』『安楽死』『瀬戸内殺人海流』といった作品があり、他に宇能鴻一�焉A笹沢佐保、川上宗薫、早乙女貢というような作家の小説が並んでいた。
ところが昭和50年にジェームズ・ハーバートの『鼠』という翻訳小説を出し、それが売れたのかどうか、翌昭和51年に同じくジェームズ・ハーバートの『霧』を刊行する。この2冊はタイトルに「SF長編小説」とつけられており、SFとして売り出されていた。3冊目となる『犬』の巻末広告をみると、「SF小説の鬼才　ジェームズ・ハーバートの恐怖小説」とも書かれている。ちなみに『犬』のタイトルには「長編恐怖小説」とつけられている。
そして、『犬』に続いて映画原作として『スクワーム』が刊行され、タイトルには「長編恐怖小説」とあり、巻末広告もそれまでに出た3冊を「話題沸騰！　サンケイ　ノベルス長編恐怖小説」と紹介している。
次の『天皇の密偵』は未入手ゆえ、どのようなキャッチフレーズがついているのかは分からないが、続く『生き埋め』は「長編パニック小説」と銘打たれている。そして、この巻末広告でようやく「話題沸騰！　サンケイ　ノベルスの海外小説」というシリーズ名が登場してくる。もしかすると、その前の『天皇の密偵』でもこのフレーズが使われているのかもしれないが。
そして、『ザ・サバイバル』『猫』はふたたび「SF長編小説」とSFを売り物にしていたりする。
『ワイルド・ギース』はたぶん持っていると思うのだけれど、書庫から掘り出すことができなかったので、キャッチフレーズは不明。
自分が確認できたところでは、「サンケイノベルスの海外小説」は、昭和50年から昭和53年までの4年間で9冊のみ。もし、他に出ていることをご存知の方がいらっしゃったら、ぜひともお教えください。

	ＳＦ長編小説 鼠 ジェームズ・ハーバート 訳：関口幸男 装幀：福田典高 初版発行：昭和50年10月3日
	ＳＦ長編小説 霧 ジェームズ・ハーバート 訳：関口幸男 装幀：福田典高 初版発行：昭和51年9月29日
	長編恐怖小説 犬 ロバート・カルダー 訳：川口正吉 装幀：福田典高 初版発行：昭和52年4月4日
	長編恐怖小説 スクワーム リチャード・カーチス 訳：関口幸男 装幀：福田典高 初版発行：昭和52年4月30日
未入手	天皇の密偵　ミスター・モトの大冒険 ジョン・Ｐ・マーカンド 訳：新庄哲夫 初版発行：昭和52年10月3日
	長編パニック小説 生き埋め ジェラルド・A・ブラウン 訳：向井啓雄 装幀：難波芳夫 初版発行：昭和52年12月9日
	ＳＦ長編小説 ザ・サバイバル ジェームズ・ハーバート 訳：関口幸男 装幀：難波芳夫 初版発行：昭和53年4月3日
本が見つかりません	ワイルド・ギース　戦争屋たち ダニエル・カーニー 訳：村杜伸 初版発行：昭和53年7月7日
	ＳＦ長編小説 猫 ジャック・ヤンガー 訳：小川洋 装幀：難波芳夫 初版発行：昭和53年12月26日