GARAKUTA

西村寿行選集　NISHIMURA HARD-ROMAN SERIES

西村寿行にはまったきっかけは、1975年、「問題小説」に前後編で掲載された『君よ、憤怒の河を渉れ』を読んだときだった。日本にもこういう冒険小説を書く作家が出てきたか！と思った。僕がまだ高校2年生のときだ。
あわてて他の作品を探してサンケイ新聞社出版局から刊行されていた『瀬戸内殺人海流』『安楽死』『屍海峡』を読んだが、これらはいわゆる社会派ミステリに分類される作品で、『君よ、憤怒の河を渉れ』のような作品ではなかった。
だが、「別冊問題小説」に一挙掲載された『娘よ、涯なき地に我を誘え』（のちに『犬笛』と改題）、「宝石」に連載された『滅びの笛』といった動物を扱った冒険小説、パニック小説で完全にはまり、古本屋で中間小説誌のバックナンバーを漁って、西村寿行の短篇をむさぼり読んだ。
『咆吼は消えた』『黄金の犬』『荒ぶる魂』といった傑作が続々と生み出され片端から読んだのだけれど、一方で『牙城を撃て』『白骨樹林』『悪霊の棲む日々』といった暴力と陵辱が横行する作品が増えてきて、だんだん作品を選んで読むようになる。
さらには、ヤクザがＦＢＩや国際的テロリスト集団と闘ったりするような、破天荒な作品も増えてきて、とうとう手に取るのをやめてしまったのだった。
なので、自分が持っている西村寿行の本は、雑誌の切り抜きと、初期の単行本がほとんどだった。
ところが、ふと気がつくと、世の中から西村寿行の本が消え失せてきているではありませんか。古本屋でいくらでも手に入るつもりでいたのだけれど、だんだん見かけることが少なくなってきているではありませんか。
そこで、徳間ノベルスから刊行されていた「西村寿行選集」を集めてみることにしてみた。この「西村寿行選集」、なんと全部で112冊出ており、西村寿行の主だった作品はほとんどここに収録されているのである。まあ、必死に集めようなどというつもりはまったくなくて、古本屋で安く見つけたら買ってもいいかなという程度なのだけれど。

	001 化石の荒野　　**年月**日発行
	002 双頭の蛇　　**年月**日発行
	003 犬笛　　昭和53年02月10日発行　改題版　　　カバーデザイン：矢島高光／和田　豊　　　カバー写真：石月美徳／植田昌克 ※これは珍しい映画のスティールを使った表紙なのだけれど、これとは異なるイラストの表紙もある。　また、これは「改題版」とあるので、改題前の『娘よ、涯なき地に我を誘え』というタイトルで出たバージョンもあるものと思われる。
	004 君よ憤怒の河を渉れ　　**年月**日発行
	005 蒼き海の伝説　　**年月**日発行
	006 往きてまた還らず　　**年月**日発行
	007 白骨樹林　　**年月**日発行
	008 幻の白い犬をみた　　昭和53年03月10日発行　　　カバーデザイン：矢島高光　　　カバーイラスト：安久利徳
	009 悪霊の棲む日々　　**年月**日発行
	010 魔の牙　　**年月**日発行
	011 峠に棲む鬼〈上〉　　**年月**日発行
	012 峠に棲む鬼〈下〉　　**年月**日発行
	013 瀬戸内殺人海流　　**年月**日発行
	014 牙城を撃て〈上〉　　**年月**日発行
	015 牙城を撃て〈下〉　　**年月**日発行
	016 汝！怒りもて報いよ　　**年月**日発行
	017 安楽死　　昭和53年07月30日発行　　　カバーデザイン：矢島高光　　　カバーイラスト：横山　明
	018 屍海峡　　**年月**日発行
	019 魔笛が聴こえる　　**年月**日発行
	020 荒涼山河風ありて　　**年月**日発行
	021 妄執果つるとき　　**年月**日発行
	022 帰らざる復讐者　　**年月**日発行
	023 黄金の犬〈第一部〉　　**年月**日発行
	024 原色の蛾　　**年月**日発行
	025 魔界　　**年月**日発行
	026 鬼が哭く谷　　昭和54年10月10日発行　　　カバーデザイン：矢島高光　　　カバーイラスト：中沢　潮＜収録作＞　包囲網　欲望の谷　呪い熊　化身　十四人の旅行者　執鬼　鬼が哭く谷
	027 怒りの白き都　　**年月**日発行
	028 われは幻に棲む　　1979年12月05日発行　　　カバーデザイン：矢島高光　　　カバーイラスト：石井三春
	029 神の岬　　昭和55年01月05日発行　　　カバーデザイン：矢島高光　　　カバーイラスト：野中昇＜収録作＞　神の岬　墓の岬　人の岬
	030 咆吼は消えた　　**年月**日発行
	031 回帰線に吼ゆ　　**年月**日発行
	032 闇に潜みしは誰ぞ　　**年月**日発行
	033 黄金の犬〈第二部〉　　**年月**日発行
	034 荒ぶる魂　　**年月**日発行
	035 呑舟の魚　　1980年06月30日発行　　　カバーデザイン：矢島高光　　　カバーイラスト：金森　達
	036 わが魂、久遠の闇に　　**年月**日発行
	037 峠　　**年月**日発行
	038 わらの街　　**年月**日発行
	039 炎の大地　　1980年12月31日発行　　　カバーデザイン：矢島高光　　　カバー写真協力：NDC・トヨタ自販
	040 蒼茫の大地、滅ぶ〈上〉　　**年月**日発行
	041 蒼氓の大地、滅ぶ〈下〉　　**年月**日発行
	042 遙かなる海嘯　　1981年04月30日発行　　　カバーデザイン：矢島高光
	043 修羅の峠　　1981年05月31日発行　　　カバーデザイン：矢島高光　　　カバー写真：出口勝男
	044 虎落笛　　**年月**日発行
	045 滅びざる大河　　1982年01月31日発行　　　カバーデザイン：矢島高光　　　カバーイラスト：安田忠幸
	046 怨霊孕む　　**年月**日発行
	047 鬼女哀し　　**年月**日発行
	048 陽は陰翳してぞゆく　　**年月**日発行
	049 虚空の舞い　　1982年11月30日発行　　　カバーデザイン：矢島高光　　　カバーイラスト：小松久子
	050 虚空の影落つ　　**年月**日発行
	051 老人と狩りをしない猟犬物語　　**年月**日発行
	052 秋霖〈上〉　　1983年03月31日発行　　　カバーデザイン：矢島高光　　　カバーイラスト：小松久子
	053 秋霖〈下〉　　1983年03月31日発行　　カバーデザイン：矢島高光　　カバーイラスト：小松久子
	054 扉のない闇　　**年月**日発行
	055 鷲の啼く北回帰線　　1983年08月31日発行　　　カバーデザイン：矢島高光　　　カバーイラスト：金森　達
	056 去りなんいざ狂人の国を　　**年月**日発行
	057 地獄〈上〉　　1983年12月31日発行　　　カバーデザイン：矢島高光　　　カバーイラスト：金森　達
	058 地獄〈下〉　　1983年12月31日発行　　　カバーデザイン：矢島高光　　　カバーイラスト：金森　達
	059 牛馬解き放ち　　1984年01月31日発行　　　カバーデザイン：矢島高光　　　カバーイラスト：小松久子
	060 妖魔　　**年月**日発行
	061 裸の冬　　1984年07月31日発行　　　カバーデザイン：矢島高光　　　カバーイラスト：金森　達
	062 石塊の衢　　1985年01月31日発行　　　カバーデザイン：矢島高光　　　カバーイラスト：熊谷博人
	063 血の翳り　　**年月**日発行
	064 昏き日輪　　**年月**日発行
	065 霖雨の時計台　　1985年06月30日発行　　　カバーデザイン：矢島高光　　　カバーイラスト：森　秀雄
	066 空蟬の街　　1985年08月31日発行　　　カバーデザイン：矢島高光　　　カバーイラスト：熊谷　博人
	067 汝は日輪に背く　　**年月**日発行
	068 垰　大魔縁　　1986年01月31日発行　　　カバーデザイン：矢島高光　　　カバーイラスト：田中博幸
	069 花に三春の約あり　　**年月**日発行
	070 鉛の法廷　　**年月**日発行
	071 妖しの花乱れにぞ　　1986年07月31日発行　　　カバーデザイン：矢島高光　　　カバーイラスト：金森　達
	072 峠よ永遠に　　1986年09月30日発行　　　カバーデザイン：矢島高光　　　カバーイラスト：金森　達
	073 憑神　　**年月**日発行
	074 鷲の巣　　1986年12月31日発行　　　カバーデザイン：矢島高光　　　カバーイラスト：金森　達
	075 雲の城　　1987年02月28日発行　　　カバーデザイン：矢島高光　　　カバーイラスト：田中博幸＜収録作＞　雲の城　八十七万時間の呪霊　炯る眸
	076 人類法廷　　1987年03月31日発行　　　カバーデザイン：矢島高光　　　カバーイラスト：金森　達
	077 ガラスの壁　　1987年07月31日発行　　　カバーデザイン：矢島高光　　　カバーイラスト：金森　達
	078 珍らしや蟾蜍、吐息す　　1987年09月30日発行　　　カバーデザイン：矢島高光　　　カバーイラスト：金森　達
	079 まぼろしの獣　　1987年11月30日発行　　　カバーデザイン：矢島高光　　　カバーイラスト：金森　達
	080 陽炎の街　　**年月**日発行
	081 時の旅　　1988年02月29日発行　　　カバーデザイン：矢島高光　　　カバーイラスト：金森　達
	082 梓弓執りて　　**年月**日発行
	083 風は悽愴　　**年月**日発行
	084 赤い鯱　　**年月**日発行
	085 黒い鯱　　**年月**日発行
	086 白い鯱　　**年月**日発行
	087 母なる鷲　　**年月**日発行
	088 人間の十字路　　**年月**日発行
	089 聖者の島　　**年月**日発行
	090 コロポックルの河　　**年月**日発行
	091 頻闇にいのち惑ひぬ　　**年月**日発行
	092 魔の山　　1989年11月30日発行　　　カバーデザイン：矢島高光　　　カバーイラスト：金森　達＜収録作＞　魔の山　崩壊　遭難　侵入　おめき谷　炎の記憶
	093 無法者の独立峠　　1990年01月31日発行　　　カバーデザイン：矢島高光　　　カバーイラスト：金森　達
	094 賞金犬（ウォンテッド）　　**年月**日発行
	095 悪霊刑事　　1990年05月31日発行　　　カバーデザイン：矢島高光　　　カバーイラスト：金森　達
	096 頽れた神々（上）　　**年月**日発行
	097 頽れた神々（下）　　**年月**日発行
	098 風紋の街　　**年月**日発行
	099 黒猫の眸のほめき　　**年月**日発行
	100 涯の鷲　　**年月**日発行
	101 晩秋の陽の炎ゆ　　**年月**日発行
	102 呪医（ウィッチ・ドクター）　　**年月**日発行
	103 蘭菊の狐　　**年月**日発行
	104 矛盾の壁を超えた男　　1992年02月29日発行　　　カバーデザイン：矢島高光　　　カバーイラスト：金森　達
	105 捜神鬼　　**年月**日発行
	106 蟹の目　　1993年02月28日発行　　　カバーデザイン：矢島高光　　　カバーイラスト：金森　達＜収録作＞　蟹の目　海と女と少年　疫病神　甲斐犬と猿
	107 魔性の岩鷹　　**年月**日発行
	108 魔獣　　**年月**日発行
	109 幻獣の森　　1994年09月30日発行　　　カバーデザイン：矢島高光　　　カバーイラスト：金森　達〈収録作〉　幻獣の森　蟹と猿　変化　巨猪の山岳
	110 幽鬼犬　　**年月**日発行
	111 鷲　　1999年06月30日発行　　　カバーデザイン：矢島高光　　　カバーイラスト：水原紫織 ※死神シリーズ
	碇の男　　2001年05月31日発行　　　カバーデザイン：鳥井和昌　　　カバーイラスト：岡部哲郎西村寿行選集には、必ず背中に通番が入っているのだけれど、この『碇の男』には通番が入っていない。帯のついた状態だと、もしかしたらこれは西村寿行選集ではないのではと不安になるのだけれど、帯をはずせばまごうことなき西村寿行選集で、裏表紙にもはっきりと西村寿行選集と記載されている。そしてこの西村寿行選集、カバーデザインはずっと矢島高光だったのだけれど、この本だけは鳥井和昌なのである。〈収録作〉　碇の男　影なき男　刑事　人間鳥の邑跡