アルマゲドン

香港で香港映画を観ると、画面の下に漢字の字幕と英語の字幕が２段になって入っている。英国領だった関係で英語字幕が入るようになったらしいのだが、広東語の分からない日本人としては、これがとても助かる。知っている漢字と英単語とを拾っていけば、なんとなくストーリーを追うことができるからだ。 　また、映画のタイトルも中国語と英語の両方がつけられる。たとえば本作の場合、中国語のタイトルは『天地雄心』、英語のタイトルは『アルマゲドン』。この英題をそのまま邦題としたために、ブルース・ウィリス主演の同名作品と間違ってレンタルする人が続出しているようなのだが、決して真似したわけじゃあない。たまたま原題が同じだったのだ。と、言い訳をしておいて、本作の紹介に入ろう。 　現代を代表する10人の科学者が、ひとり、またひとりと謎の死を遂げていく。天才的科学者ケン（アンディ・ラウ）の目の前には死んだはずの恋人（ミシェル・リー）が姿を現し、彼も事件に巻き込まれていく。やがて、聖書に予言されている終末（アルマゲドン）を、誰かが人為的に引き起こそうとしているらしいことが判明するのだが……。 　というわけで、いかにも世紀末らしい内容の作品である。しかも、全編を無機質なイメージが覆い、なるほどテクノロジー時代の世紀末とはこういうものであるのかと、妙に納得させられてしまう。 　監督は『フィスト・オブ・レジェンド』のゴードン・チャン。歯切れのいい娯楽映画を得意とする監督で、その特質は本作でもフルに発揮されている。これならば、間違ってレンタルした人でも楽しんでくれると思うのだが……。

1997年／ビデオ＝エスピーオー、15,800円