暗黒街

今年も香港電影金像奨（香港のアカデミー賞）の季節がやってきた。今回注目すべきは、千葉真一。昨年の香港で最もヒットした『風雲雄覇天下』でアーロン・クォック、イーキン・チェンの２大スターの師匠役を演じて、なんと主演男優賞にノミネートされてしまったのだ。日本人ではかつてワダエミが衣装設計で受賞したことがあるのだが、果たして２人目の受賞となるのかどうか。４月24日の発表が実に楽しみでならない。 　といったところで、今回は金城武主演のアクション映画を紹介しよう。監督はアクション演出に定評のあるユン・ケイ。 　時は1898年。職を求めて上海へ出てきた若者マー・ウィンジン（金城武）は、その一途な性格と腕っぷしの強さゆえに裏社会の大物（ユン・ピョウ）に気に入られ、めきめきと頭角をあらわしていく。だが……。 　とまあ、ストーリーそのものはいつものパターンだ。しかし、金城のアクションがひたすらかっこいいのである。インタビューなどでは「アクションは苦手」と語る金城だが、本作を観たあとでそれを信じろと言っても無理というものだろう。疾駆する馬上でのアクロバティックなバトル、次々と襲いかかる敵をかたはしから叩きのめす酒場の乱闘シーンなどなど、男の僕がみてもホレボレするかっこいい場面が山盛りなのだ。ファンならずとも魅了されずにはいられまい。 　それにしても、驚くべきは主人公の回復力の強さだ。身体中に斧を叩き込まれて重傷を負ったというのに、なんとたったの２週間で完全復活してしまうのである。うーむ、さすがは香港映画だ。ま、そのおおらかさも香港映画の魅力のひとつではあるのだが。

1997年／ビデオ＝マクザム、16,000円