ゴールデン・ガイ

さて、もうすぐお正月。映画界にとって、サマーシーズンとともに最大の稼ぎ時で、話題作が続々と登場してくるシーズンである。 　ところで香港では、その正月になると必ず登場してくるのがレイモンド・ウォンというプロデューサーの製作するコメディ映画。松竹の寅さんや釣りバカ日誌のようなシリーズ作品ではないのだけれど、香港の人たちは毎年楽しみにしている作品なのである。 　そこで今回は、1990年に公開された「レイモンド・ウォンの正月映画」を紹介しよう。主演は『リプレイスメント・キラー』でハリウッド進出を果たしたチョウ・ユンファ。監督は『ワンダーガールズ　東方三侠』等のジョニー・トゥ。 　大資産家の跡取り息子ラム（チョウ・ユンファ）は、親の決めた結婚を嫌い、屋敷を抜け出して下町のレストランで働き始める。そこで身分を隠して働くうちに、社長の妹（シルヴィア・チャン）といい雰囲気になるのだが、妹を金持ちと結婚させたい社長は大反対。しかも、財産目当てでラムとの結婚をたくらむフィアンセに居所を知られてしまい……。 　要するにエディ・マーフィー主演の『星の王子ニューヨークへ行く』のパクリである。が、そこに目いっぱい香港映画のテイストがつめこまれているため、とてつもなくにぎやかで楽しい作品となっているのだ。 　ちなみに、要注目なのが、チョウ・ユンファのあけっぴろげの笑顔。百万ドルの夜景ならぬ百万ドルの笑顔で、正月早々この笑顔をたっぷりと拝めば「今年もいい年になるぞお！」って気分になること間違いなし。 　まさに正月映画の王道を行く作品なのであります。

1990年／ビデオ＝ポニーキャニオン、14,800円