ブレード／刀

10月末に始まる東京ファンタスティック映画祭の上映作品が発表になった。今年の目玉は「武侠最終英雄・ジェット・リー」と銘打たれたリー・リンチェイ主演作の特集上映だ。上映作品は『ワンス・アポン・ア・タイム・イン・チャイナ・アンド・アメリカ』『ブラック・マスク／黒侠』の２本。こいつは見逃せない。しかも、『燃えよ！ドラゴン　ディレクターズカット25周年記念版』の上映もあれば、最近話題のインド映画の上映もある。どうやら、今年も渋谷に日参することになりそうだ。 　本作もかつてファンタスティック映画祭で上映された作品である。監督は『男たちの挽歌』『スウォーズマン』などの製作を担当したツイ・ハーク。常に香港映画界のトレンドをリードし、「香港のスピルバーグ」と称せられることも多い才人だ。そのツイ・ハークが、リアリズムに撤して作り上げたアクション時代劇、それが本作なのである。 　刀鍛冶として働く主人公（ウィン・ツァオ）は、ある事件で右腕を失うが、１人の少女に助けられ、偶然から刀術の秘伝書を発見する。その奥義を身につけた彼は、父の仇を求めて旅に出るのだが……。 　ストーリーはいたってシンプルであるが、そこに様々なキャラクターが絡み、物語りに厚みを持たせている。が、なんといっても特筆に値するのは、リアルなアクション場面だ。襲い来る野盗の群れと主人公との闘いのダイナミックな映像は、黒澤明の『七人の侍』を彷彿させるほどだ。そして、父の仇との一騎討ちで展開される、極限にまでスピードアップされた殺陣の迫力！　凄い！ 　その圧倒的な映像は、世界トップクラスと言いきってしまおう。

1995年／ビデオ＝エスピーオー、15,800円