フィスト・オブ・レジェンド　怒りの鉄拳

このところ、香港映画人のハリウッド進出が続いている。ジョン・ウー、リンゴ・ラム、ツイ・ハークといった監督たちの他に、ジャッキー・チェン、チョウ・ユンファ、ミシェル・ヨーといった俳優たちの活躍も目立っている。 　そして、新たにもうひとり、ハリウッド進出の決まっている俳優がいる。かつて中国の全国武術大会で７度にわたって優勝した真の武術家にして、数々のヒット作を飛ばしてきたスーパースター、リー・リンチェイ。その彼がメル・ギブソン主演の人気シリーズ『リーサル・ウェポン４』に悪役として出ることになっているのだ。リンチェイにとって初の悪役ということもあり、いやがおうにも期待が高まる。うーん、楽しみだぞう。 　そこで、今回はリンチェイのハリウッド進出を記念して、彼の主演した武術映画の傑作を紹介しよう。 　中国で抗日運動が激化した1921年。恩師の死を知らされた陳眞（リンチェイ）は、留学先の日本から風雲急を告げる上海にとってかえす。そして、恩師の死に疑念を抱いた陳眞は、その死の背後に日本軍が存在することを探りだし、復讐に立ち上がるのだが……。 　かつて、ブルース・リー主演で撮られた『ドラゴン怒りの鉄拳』のリメイクだが、武闘シーンの比類なきリアルさが、本作を傑作の高みに押し上げている。日本人武術家、船越（倉田保昭）との荒野での決闘、兄弟子（チン・シウホウ）との激突、そして師の仇の日本軍人、藤田剛（ビリー・チョウ）との壮絶な死闘！　リアルなアクション演出に定評のあるゴードン・チャン監督が、渾身の力を込めて描いたこの３大バトルを満喫せずに、香港アクション映画を語ることはできないのだ。

1994年／ビデオ＝ポニー・キャニオン、16,000円