欲望の街　古惑仔�T　 銅鑼湾（コーズウェイベイ）の疾風

東京国際映画祭が始まった。今年も香港映画が何本も上映される。この機会を逃すと２度と見られない可能性のある作品もあるので、熱心な香港映画ファンはみんな渋谷に駆けつける。それこそ、日本中の香港映画ファンが連日渋谷に集まり、「お久しぶり」なんて挨拶を交わし、そして映画の後は酒席で盛り上がり……いやあ、忙しい（笑） 　それはさておいて、今回は勢いだけで映画を作ってしまうという、いかにも香港らしい実例を紹介しよう。 　本作が香港で公開されたのは昨年の１月。たぶん大作映画が登場してくる旧正月までのつなぎとして上映されたものだろう。製作者としても、これで大ヒットを狙おうだなんて、思いもしないような低予算映画だ。ところが、古惑仔（チンピラ）たちの抗争を描いた青春群像劇ともいうべきこの作品が、予想外にヒットしてしまう。 　そこで、製作者たちは即座に続編の製作を決定。すぐに撮影を開始し、なんと本作の上映が続いているうちに続編の上映を開始してしまったのである！ 　そして、この続編も大ヒットを記録し、当然ながらパート３も製作されて６月に上映開始。なんと半年の間にパート３まで公開され、それが全部大ヒットとなってしまったのだ（笑） 　監督はアンドリュー・ラウ。主演は本作で一気にトップスターの仲間入りを果たしたイーキン・チェン。作品的にはいささか粗いところもあるが、とにかく勢いの感じられるシリーズなのである。 　ちなみに、パート４は今年に入って公開され、パート５は千葉真一をゲストに迎えて北海道で撮影される予定なのだという。はてさて、柳の下にはドジョウが何匹いるのでしょうか？

1996年作品／ビデオ＝バップ、15,800円

メモ この原稿を出すと、「文末の（笑）はやめてください」と担当者からクレームがついた。嫌いなのだそうだ。あまりこだわりはなかったのではずしたけれど、今回はそれを復活させてあります。なんとなく、この方がしっくりくるもんで。